今日はすごく寒い。
ニュースによると10年ぶりくらいの寒い冬だそう。
部屋からエントランスまで、ちょっとの間上着を着ないで出てきたら
体がすっかり冷たくなってしまった。
「体、冷えちゃったね」
部屋へ入りざま、彼が私を後ろから抱き締めた。
ジャケットの中に包まれて彼の匂いがする。
冷えきったライダージャケットの中はディオの体温で温かった。
ふと触れた彼の手が冷たい事に気づいて、私の手で彼の手を包む。
「有難う、温かいよ」
耳もとで囁くディオの甘い声は、私の心に火を灯した。
お腹がすいたという彼に軽く食事をしてもらった後、ろうそくに火を灯す。
グラスは二つ。
ディオと私の特別な夜。
そんなに高くないシャンパンとチョコレートケーキは私が用意したもの。
二人じゃ大きかったかな。
「よし、じゃ開けるよ」
お祭り好きなディオはシャンパンを開ける瞬間が楽しいみたい。
なんとなくはしゃいだ感じでシャンパンを開ける。
手際良くスマートにシャンパンを用意するディオ。
「はい、じゃあグラス持って」
グラスにシャンパンを注ぐ音が心地良い。
グラスに半分ちょっと。
お酒に強くない私も、シャンパンは美味しいと思う。ジュースみたい。
今日くらいは、少し多めに飲んでも大丈夫かもしれない。。。
注ぎ終わると、交代に私が彼のグラスにシャンパンを注ぐ。