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「イザナギ・イザナミに始まる古来の神々は、その数だけで数百体、 それらが固有の伝承を持ち、日本の各地に根付いているのです。 しかしその中で、月読命だけが故意に忘れ去られている。 夜のおす国、即ち死者の国の神だからと言うだけではなく、 それらは恐らく何か深い理由があったからだと私は考えました…」 |
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オリジナルダイナビジョン |
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ゲゲゲの森。穏やかに流れる宵の時間に、地獄からの使い・地獄童子が鬼太郎を訪れた。 訪問の内容は、事件解決の助力。 最近、反魂の術によって亡者が現世へ呼び戻される事件が多発していると言うのである。 この術は、すでに彼岸へ渡った魂を無理やりもとの肉体に引き戻すというもの。 肉体はすでに死んでいるため、術をかけられた者は終わりのない苦しみを味わうことになる、禁断の呪詛である。 どんな理由があってたとしても、術者を発見し阻止しなくてはならない。 ようやく発見した術者は、安田と言うごく普通の青年だった。 上質な服をさりげなく身に着けた外見からは、およそ反魂の術を必要とするような理由はどこにも見当たらない。 しかしその手には、強力な呪力を放つ5つの玉が握られていた。 人間には危険なレベルの呪力を持つその玉を、何のためらいもなく身につけ行使する安田。 明らかに何かはっきりとした、しかし尋常ではない目的があっての行動である。 その理由を問い詰める鬼太郎たちに、安田は驚くべき内容を語った。 「私は隠されていた伝説を見つけたんだ」 安田は考古学者・今来野教授の助手で、文献の解読や発掘などに携わる生活を送っていた。 数多くの神々が登場しそれぞれが固有の神話を持っている日本書紀の中で、なぜか月読命の記述だけが極端に少ない。何か理由があるのではないか?そこに惹かれて、教授は研究テーマに選んだのだと言う。 その途中で見つけた1冊の古文書が、安田の人生を変えてしまったのである。 「月読命は妖怪の生みの親で、 人間よりも強靭で長命な種族を生み出したことを危惧した兄弟神によって封印された」 文献にとり憑かれた安田は、あまりに突飛で信じる者のない封印伝説の信憑性を立証するため、恐ろしい手段に行き着いてしまった。 「月読命を復活させてみせる」 遺跡から玉を盗掘し、呪詛に手を染め、墓地を徘徊しては魂を狩り集める。 月読命復活に必要な生贄をそろえるため、おとなしい青年は手段を問わない狂人へと変貌を遂げていった。 あと1人、それで生贄がそろい復活が始まると、安田は確信に満ちた口調で語った。 安田の言い分を信じたわけではなかったが、魂を狩ることは阻止しなくてはならない。 かかってゆく鬼太郎と地獄童子を玉の呪力で易々とねじ伏せ、悠然と最後の生贄を手に入れた安田。 「伝説は本当だったんだ!」 玉が激しく発光し、狂ったように笑う安田を飲み込んで、地面から火柱が吹き上がった。 地表が割れ、地の底からありえない光景がせり上がって来る。 幾重にもうねる巨大な蛇。人面蛇身のその姿を見て、目玉親父がうめいた。 「…女禍じゃ」 それは中国神話の創造神、災害で砕けた天地を五色の玉で修復した月の女神。 日本神話で月読命と呼ばれ、中国神話で女禍と呼ばれた神が同一のものだったことに、一同は絶句した。 伝説は、本当だったのだ。 <女禍 1 2 3 番外> |
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